寝楽起楽

ネタばれには配慮しない、感想/紹介ブログです。毎週1回更新 +α を目指したかった。

人の手帳を読んできた。

 すれちがう人になんとはなしに顔を向けながら、「思考が読み取れたりしねえかな」とか思ったこと、ありませんか?

 

 私はあります。相手がものすごい奇抜なファッションだったり、一生交わりそうもないようなタイプだったらなおさら。

これから先全く縁のない人の頭の中であるならば、覗いても良心が痛むこともないし。

 

 まあ突然そんな特殊能力に目覚めるわけはなし、リアルタイムで……とはいきませんでしたが、その夢が部分的に叶えられるサービスを見つけたので、今回はそれを紹介します。

 

 それがこの、参宮橋にある「手帳類図書室」。

 

 使用済み手帳を収集することにはまった志良堂正史さんが、そのコレクションの一部を一般に開放しているというもので、年代・性別・職業様々な、150人ちょっとの生活の記録を1時間500円で読めちゃうという、後ろ暗めな欲望を充足させるのには最適でした。

 

 具体的な内容は伏せますけど、ものによっては〇〇の〇〇部で〇〇付近に住んでて今〇〇歳だな、みたいなとこまでパラパラ見てるだけで情報抜きとれちゃうものとかもあって、中々ぞっとしましたね。

 内装も結構入るのに勇気がいる感じで、しかも入ったらレジカウンターの中に案内されるので、アブナイことが起こっても逃げられないような場所でアブナイものを読んでいる気持ちになりました。もちろんなんもありませんでしたが。

 

 割とみんなある程度まとまった文章を書いていて、そういう意味ではブログを読んでるのとあんま変わらん、という気もするんですが、ブログは自分の出したい側面しか出さない一方で、手帳は何もかもを暴露しているので、こんなこともあんなこともしてるんだー、へぇ、という楽しみ方もあります。

実際自分もブログに何もかも書いてるかといったらそりゃ書いてないしね。

あと詩人さんの手帳はすごかった。あれはもうそれで一つの作品になってた。

 

 個人的に一笑ったのは、新社会人の人、女子高生、メディア関係の仕事してる人、の3人立て続けに読んだら、3人とも世界遺産検定を受けに行ってたことですね。

流行ってるの?自分は「世界遺産と雑学の旅」というポッドキャストでこの検定の存在を知ったんですが、もしかしてその影響?この三人、会場でニアピンしてたりして。

自分も受けようか迷ってたんですが、これは何かに受けろと背中を押されてるんですかねえ。

 

 金曜、土曜しかやってませんが、読みにいくと結構面白いですよ。

また100円~500円で手帳の買い取りも行ってるそうなので、ある程度の覚悟がある人は売り払ってみてもいいかもしれません。

 

以上。

20代男子がセンスマウンティングしたくて作ったプレイリスト

 要は好きな曲詰め合わせです。全21曲。

公式PVが上がってない場合はitune musicから引っ張りました。

また際限なくなるので1アーティストにつき1曲にしてます。

 

〇「深夜高速」 フラワーカンパニーズ

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 自分が音楽に興味をもったきっかけ。どん底に陥っていたボーカルの鈴木圭介が書いた曲。ちょっと痛すぎないか、などとメンバーには言われたが、その身を切り心を切るような歌詞に多くの人が共感を覚え、結果的に代表曲にまでなった。

 

「吐きたくなるほど愛されたい」「ビューティフルドリーマー」「青い春」「初恋」「はじまりのシーン」などなどほかのフラカン曲にはまったりもするけど、なんだかんだここに落ち着く。

 

 

〇「今日も雨」 倉橋ヨエコ

 ネガティブ+ポジティブ=ポガティブ曲の筆頭。

 ヨエコさんの調子としては珍しく恋愛要素のない応援歌になっているが、安易に人を慰めた歌ではないところが良い。ピアノが時々雨粒が落ちる音みたいに入ってくるのも好き。

 

 2008年に引退された以降音沙汰はまったく無かったが、最近ファンの間で「もしかしてこれヨエコさんじゃない?」という曲が発見され、話題になっている。本当だとしたらお元気にされてたということで、マジ嬉しい。

 

 

〇「水星」 DAOKO

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  PVがお洒落。これは完全に個人的な感覚なんだけど、電光掲示板に歌詞が流れていくとこに未来感を感じる。tofubeat版も好き、というかこれが元ネタだと思ってたんだけど、大本は今田浩司さんらしい。びっくり。

 

 

〇「ベッドルームの夢」 ラブリーサマーちゃん

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 「ベーえっドールぅーむぅーで 君がくぅーちーずさーむ めぇーろでぃい あーのーこにーも きーこーえたらいぃーいぃーねぇーえー」のとこの「いぃーいぃーねぇーえー」の「聞こえてなくてもいいんだけど、聞こえてたらちょっと嬉しい」感が好き。

  

 

〇「さよならいちごちゃん」 Serani Poji

  PS2ソフト「ニュールーマニア ポロリ青春」に登場するゲーム内ユニットSerani Pohjiの楽曲。作詞作曲は子供の教育向けだと爆発的に話題になった「はみがきのうた」などを作ってる「東京ハイジ」の中の人、ササキトモコさん。アイマスから知った人も多いのかな?

 

 セラニの曲はこれが凄く良い!というはまり方ではなく、全体に流れてる電子的アニメポップ具合が好き。こちらも最近復活の兆しあり。嬉しい。

 

 

〇「悲しくてやりきれない」 ザ・フォーク・クルセイダーズ

 映画「この世界の片隅に」の劇中歌としてコトリンゴ がカバーしてたけど、自分はその前からちゃんとこの曲知ってたのがプチ自慢。

後半になるつれ詩的になるのが素敵である。やりきれないときにこの曲を聴いているとやりきれなさが増していくのを感じる。

 

 

〇「近未来」 奥田民生

 「とにかくうっかりのんびりしない様」とうたっている曲調が致命的にのんびりであるのが民生of民生曲という感じ(個人のイメージです)。この気の抜け方は唯一無二。

 

 

〇「かくれんぼ」 Whiteberry

  『ピカチュウのどきどきかくれんぼ』のオープニングテーマ。「夏祭り」よりこっちの方が好き。「幼い思い」の「遠さ」を強調することで一気に年齢層が広がるあたりがよい。

 

 

〇「ミルクと毛布」 特撮

 「特撮」のボーカル大槻ケンヂが書いた、前に紹介したこの小説風自伝でとても印象的に使われていた子守歌。遅まきながらケンヂの作詞センスにはまりはじめている。

 

余談だが私は牛乳が大好きで、一説によるとパパママ言うより先にグーナー(牛乳)と喋るようになったらしい。

 

 

〇「愛のうた」 ストロベリー・フラワー 

 ゲームキューブソフト『ピクミン1』の主題歌。健気の極致、あるいは社畜の極み。しかしそんな彼らも、エンディングでは主人公に頼らずに食物連鎖の階段を登っていけるだけ成長した、頼もしい姿を見せてくれるようになる。

 

〇「Hungry Spider」 槇原敬之

 捕食対象である蝶に恋をしてしまった蜘蛛の話。逮捕される前に出した楽曲のラスト。こういう物語性の強い曲ってあんまり見ないが、自分は好き。

 

〇「ホームにて」 中島みゆき

 「やさしいやさしい声の駅長が」のとこがほんとにやさしい声。昔、有吉さんがテレビで紹介してて知った曲。

 

 

〇「夏の匂い」 LUNKHEAD

 「夏の匂い」ってどんな匂いなんだろうと思いながらいつも聞いている。穏やかな進行なんだけど、早く「君」に会いたい待ち切れなさが伝わってくる名曲。

 

〇「あの夏の日々」 THE イナズマ戦隊

 超がつくほど暑苦しい曲を生み出すことに定評のあるTHEイナズマ戦隊だが、だんだんとその熱気が癖になってくる。

 

〇「ハズムリズム」 Puffy×東京スカパラダイスオーケストラ

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  タイトル通りに弾んでいくリズム、歌詞のキャッチ―さがよい。

 

〇「アルニ村 ホーム」 光田康典

 PSソフト「クロノクロス」の中の楽曲。いつかアコギの勉強をしてこの曲を弾けるようになれたらいいなあと思っている。思っているだけ。

 

↓こっから洋楽

〇「Virtual insunity」 Jamieoquai

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 PVの異空間感が好き。カップヌードルのCMで知った。歌詞の意味は調べる度に忘れる。

 

〇「Do you sleep?」 Lisa Loeb

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 某実況動画で使われていて知った曲。この人の作る曲は耳に穏やかに心地よい。でもやっぱり歌詞の意味はいまいちわかってない。

 

〇「The lazy song」 Bruno Mars

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 なんもする気起きないよねー、だるいよねー、という曲。だるいときに聞く。

PVが滑稽。

 

〇「Say it ain`t so」 weezer

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 友達がブログで紹介しててはまった曲。アル中の父に捧げられた歌。(デンデン)、(デンデン)からの「セイイっエインソーウオウオー」の盛り上がりがかっこよい。

 

〇「Piano man」 Billy Joel

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 「もっとうまくやれたはずなんだけど」、という一抹の後悔を抱える客が集まるピアノバーのピアニストを主題にした曲。ビリージョエルの実際の経験が元。めちゃあったかい曲。良い。

 

 

 こんなもんですかね。 もしかしたらこっそり追加したりするかもしれません。

 

以上。

 

 

何時間でもプレイ可:『ゲームSF傑作選 スタートボタンを押してください』 D・H・ウィルソン&J・J・アダムズ編 仲原尚哉・古沢嘉通訳 創元SF文庫 2018年

 「なにやってるの」わたしはいった。

 「 『ダイヤモンド・ナイツ』のパスワードがないかなと思って」トードは慌てて答えた。

 「おまえ、ソリーのキャラのアイテムを全部自分のキャラに移すつもりだっただろう」デッカーが言った。「最低な奴だな。葬式に来てるんだぞ」

 「たしかに俺は最低だ。みんな知ってる。でもパスワードは見つけてない。かわりにみつけたのがこれ。デスクトップにあったんだ。見てよ」

 わたしたちはコンピュータの前に集まって画面を見た。

 

 『ラザロのゲーム』

 ソレン・カープ

 

 きみたちは悲しんでいる

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 「あいつ、ゲーム作ってたのか?あいつがゲームつくってるって、誰か知ってたか?」

(本著「1アップ」p 80-81)

 

  ゲームの出だしって無条件にわくわくするよね。

 

 

スタートボタンを押してください ゲームSF傑作選 (創元SF文庫)

スタートボタンを押してください ゲームSF傑作選 (創元SF文庫)

 

 

○内容

 ピース又吉が絶賛、SF賞3冠の『紙の動物園』のケン・リュウ、ハリウッド映画化とかまでしてた『ALL You Need is Kill』の桜坂洋、一人火星に取り残されて絶望するかと思いきや生活をエンジョイしはじめる『火星の人』のアンディ・ウィアー等々の豪華執筆陣がゲームを題材にSFを12編書いた。

 

○感想・考察

 ゲームを使って何かをする、ゲームが現実化する、そもそも現実がゲーム的である、という発想の方向性自体は予想外なものは無かったけど、料理の仕方がそれぞれ独特で楽しかった。

 

 いつもよりさくっと世界に入りやすかったのが驚き。ゲームってある程度のお約束事が存在するもんで、それを了解してるかしてないかで効率が著しく変わったりするけれども、小説の媒体におとしこんでも、そのゲームの暗黙のルールが殺されずに息づいているというらしい。

途中からは小説読んでるというよりゲームやってる気分になってた。なので、本なんか読まねーよヘッドショット決めてるほうが楽しいだろ、とかって人にもお勧め。

実際テキストアドベンチャーなんてジャンルがあるし、ゲームと小説って相性いいんでしょうね。

 

 「救助よろ」「1アップ!」「猫の王権」「キャラクター選択」「時計仕掛けの兵隊」の5編が特に好き。

 

 原著は元々26編あって、そこから12編を選んで今回収録したとのことなので、多分売れ行きよければ『Ⅱ』が出るから、読みたいので皆さん買ってくれ。

 

 後ついでにゲームSFだと

 

 

ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム

ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム

 

 

 こちらもお勧めしておく。2115年の視点からそれ以前に出た架空のゲームを貶して褒めて愛を語るという、面白いコンセプトです。

 カクヨムにweb版があるのでまずそちらでチラ見してもいいかもしんない、というか自分もまだ書籍版買ってない。『紙の動物園』も積ん読だし『火星の人』も未購入だし。読むほどに読むべき本が増えていくというスパイラルに最近陥りつつある。

この沼、金がかかるんだよなあ。

 

以上。

 

これが直木賞作家だ!『この話、続けてもいいですか。』 西 加奈子 ちくま文庫 2011年

 私の父の、酔ったときの口癖は「そういう世界」です。そのときのポーズも決まってます。親指を突き立てない「グー」サイン。ハタから見れば握りこぶしに力を入れているだけのような状態で、元気に「そういう世界!」 。どういう世界?私の統計によると、言葉に煮詰まったとき、自分が何を話していたかわからなくなったとき、人の話を聞いていなかったときなどに使います。例えば、「(父・泥酔)いやぁ、僕が言いたいのはね、僕は、トルコが好きっ」「(私たち・素面)トルコが好き?なんで?」「(父・泥酔)……そういう世界っ」

(p56)

 

 使いてえ~~。

 

 

この話、続けてもいいですか。 (ちくま文庫)

この話、続けてもいいですか。 (ちくま文庫)

 

 

 

〇内容

 「サラバ!」で直木賞受賞、その文庫化で再び話題になっている西加奈子さんの、若さ溢れるエッセイ集。

 

〇感想

 個性豊かな人物が続々登場。

 

 部長のY君。中学のときは「古墳クラブ」に所属、校庭の隅で思い思いの古墳を作り、先生に「これだと、石室はどこに置くのかな?」などと指摘され、最初からやり直すという、大変有意義で、人生の役にしかたたない経験をしています。

(p61)

 

 こんなん笑うしかないじゃん。石室にこだわって作り直しとか、ちゃんと真面目に部活動してるとこがほんと良い。

 

 そういう人物をちゃんと拾い上げて笑いに変えることが出来る、西さん自身は恐らくはとても素直な人である。

 

 だからこそ西さんの気持ち、「楽しませたろう笑かしたろう」というサービス精神は衒いなく文章からそのまま伝わってくるし、また同時に「こんなんだけど自分、ほんとにこれでいいん だろか?」的な思考も同時に駄々洩れで、人間性の複雑さ的なものも一緒に味わえてしまうという、大変お得なエッセイ集。

 

 「サラバ!」まだ読んでないんだけど、この人の書いた作品なら読んでみたいと思わせてくれるような一冊でした。

 

 以上。