気が向いたので読書記録。
今回は、タイトルにある通り森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』(ネタバレ注意。)
- 作者: 森見登美彦,くまおり純
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/11/22
- メディア: 文庫
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あらすじ
毎日の発見をノートに書き留めるのが趣味な、小学生の男の子が主人公。
ある日彼は、街に居るはずのないペンギンがうようよしているのを発見する。
しかもそのペンギン達は、どうやら知り合いの歯科医のお姉さんが作り出しているらしい。
お姉さんから頼まれて、彼は同級生のウチダ君とこの不思議を探求する事を決意。
さらに次々と身近で起こる怪奇事件、果たしてその真相は?
以下ネタバレありの考察ー。
これは、一言で言うと「果ての物語」である。
ウチダ君と「ぼく」の主な興味の対象は、宇宙、生命のはじまり、死とは何かなどなど。
どれも果てに関連する事である。
さらに街を探検することで、自分の世界を広げていく。
けれどもどうやら世界は平坦ではなく、複雑に折り合っているものだという事が分かってくる。
それは物語中で、<海>という形で表される。(これも陸の果てにあるもの)
同級生のチェス好きの美少女ハマモトさんが発見した<海>のある草原は、時空が歪んでいて、そこを流れる川の上を行っても下を行っても、ここにたどり着いてしまう。
そしてどうやらこれが世界の果てであり、この世界にあってはいけないものであるらしい。
最後なんやかんやあって、ペンギンと、「ぼく」が好意を抱いていた歯科医のお姉さんとともに<海>が消失したあとの、お父さんと「ぼく」との会話を引用。
「なぜお姉さんは行ってしまわないといけなかったのだろう」
「それをおまえは理不尽なことだと思うかい?」
「理不尽なことだとおもう」
「そこにも世界の果てがあるね」と父は言った。
さらにその後。
「ぼくは世界の果てに興味があるよ。でもたいへんやっかいだね」
「それでも、みな世界の果てをみなくてはならない」
「なぜみるの?」
「なぜだろうね」
望む望まざるに関わらず、私たちは皆世界の果てにいずれたどり着く。
その時に私たちは、果たしてどう振る舞うのか?
この会話に、この物語が集約されている様に思いました。
ちょっと補足で面白かった会話。
「アオヤマ君はスズキ君にも怒らないんだね」
「怒りそうになったら、おっぱいのことを考えるといいよ。そうすると心がたいへん平和になるんだ」
「ぼく、アオヤマ君はえらいと思うけども……でも、あまりそういうことを考えるのはよくない」
「おっぱいのこと?」
「分からないけど。でも、よくないような気がするな」
「ずっと考えているわけではないよ。毎日ほんの三十分ぐらいだから」
小学生の頃の弟がおっぱいって検索した後を発見したのを思い出しました。
性的な知識の芽生え始めって感じが良く出てていいよね、おっぱいに興味があるって。
うーん、しかし読んだ人ならこれくらいは誰でも分かる様な内容しか書けないなあ。
こうもっとうならせるようなものが書きたいけど。どうやるんだろう。内田樹先生を研究かなあ・・・。