良い音楽、良い本、良いことだけをして暮らしていければいいのにと思う。
手塚治虫氏はその昔、自宅を訪ねてきた、まだ年若き石ノ森章太郎、赤塚不二夫、藤子不二雄らに向かって、「マンガばかり描いてちゃだめだよ。一流の音楽を聴きなさい。一流の芝居を見なさい。一流の映画を見なさい」と言ったそうだ。
優れたものに囲まれて過ごしたい、という願望が自分にはあるのだが、
それを実行する前に、すでに多くの時間を空費してしまったと思う。
しかも、なおたちが悪いのは、それに気づいているくせに、しょーもないとしかいえない事を惰性で行っている自分がいることである。
それに苛立ちを覚えもするが、けれども、凄い本を読むのには、体力が要るのである。
世の中には一日に何冊も本を読んだり映画を観たりすることが出来る人達が居るようだけれども、僕には為しえない芸当だ。
憧れはするけれども、貧弱なので無理である。
だからしょうがなく、「どうしようもなく無駄なことをする、というのも知能を持った生き物にしか出来ない崇高な行為であり、人間にはそれを為す自由がある」という、父に教わった詭弁でもってお茶を濁しながら、僕は今日も電子の海を漂い、そして後で後悔するのだ。ちまい人生である。