寝楽起楽

ネタばれには配慮しない、感想/紹介ブログです。毎週1回更新 +α を目指したかった。

ジェイムズ•ティプトリー•Jr『たった一つの冴えたやり方』 朝倉久志訳 早川書房 1987年(初出は1985~86)

16才の誕生日に両親からもらった小型スペース•クーペで銀河に旅立つ少女を描いた表題作

『たった一つの冴えたやり方』

戦役経験後、宇宙で救難の商売を始めた男はかつての恋人と再会する『グッドナイト•スイートハーツ』

戦争か和平か?スリルある異文化交流『衝突』

以上所収。

 

 

 

表題作、タイトルだけは知ってたんだけど、SFだったんですねー。漠然とミステリ系の様な想像をしていたので、脳にエイリアンが住み着いた描写が始まった時はもうどうなることかと思いました。

 

3つとも読み終わってしまえばちゃんと胸の中に収まりどころがある話でしたが、SFは読書経験が少ないことと、なんでもありみたいなイメージがあるのと、文体のせいで何もかも滅茶苦茶になるんじゃねえかって不穏な雰囲気が読中はずっとありました。

 

『たった一つの』は、まあ話題になるだろうなって感じの良い話。16歳がさしたる混乱もなく、最後の判断を下せるというのはちょっと凄すぎ。

 

『グッドナイト』も最後の主人公の決断が肝な話。全体的に重たい空気だったところに、ぶわっといきなり解放感が来るのは良いですね。

 

『衝突』が個人的に一番好き。船からの通信が来るたびにいやがおうにもましていく緊迫感。けど結局は事態が好転するのを信じて待つしかない感じが良く出てました。

 

しかし覚えやすいタイトルで得してるよねー。巻末の案内見たら、『愛はさだめ、さだめは死』もこの人の著書だそうで、これまた想像の膨らむ格好良さ。ウィキペディアではこっちの方が代表作になってました。次読むSFはこれですかね。