寝楽起楽

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                ネタバレには配慮しない感想ブログです。

沈んだ意識の向こう:『水域(上)(下)』 漆原友紀 講談社 2011年

今回は漫画。

 

 

水域 上・下 全2巻セット(アフタヌーンKC)(コミック)

水域 上・下 全2巻セット(アフタヌーンKC)(コミック)

 

 

○あらすじ

 酷暑の夏、少女はマラソンの途中で意識を失い、その最中に村を幻視する。

現実とは異なり雨が降り続くそこに暮らすのは、老人と少年。彼らは一体何者か。村は一体どこなのか。

 

○考察・感想

 漆原さんは『蟲師』の人で、つまりはこの『水域』も読む前から神作品であることは明らかであり、めっちゃ安心して楽しんだ。実際良かった。

 

 意識が「落ちる」とか「沈む」とかいう表現があるように、水と心の深層というのは確かに相性が良くて、そこまでは発想としてはあるけど、じゃあその水の向こう側には何があるの?というところを考えた作品。発想花丸。

 

 少女千波があちら側に行ったのを皮切りにして、せきとめられていた村の記憶が関係者からあふれ出てくる。ダムに沈むのを防げなかった故郷、其処に今も埋もれる行方不明の少年、それら自体はとっても苦いもの。でも、水自体はたそこに悠然としてあるだけ、というような一種のつきぬけが終盤一気に示され(と僕は感じた)、そこに蟲師味を感じた。

 

 表紙だけ見るとなんだか『ぼくらの』とかあっち系の雰囲気で、ちょっと嫌な話なんじゃないの?と敬遠されちゃうかもだけど、実際は全然そんなことないですよ。

もうすぐ夏だし。もう暑いし。空想の雨に打たれてしんみりしませんか。