チェコ好きの日記さんで紹介されており、気になったので読んだ。
水が怖い怖いと怯える中年男性が、怖い怖い言いながら泳げるようになるノンフィクション。
「できなさ」と付き合うためのハウツー、という切り口の本という先入観で読んでいたのだけれど、個人的にはあんましそういう風には見えなかった。
高橋さんの「できなさ」は一重に水への恐怖に起因していたわけで、嫌々ながらもスイミングスクールに通っていくと彼は泳ぎ自体は上達していく。
彼が後半で「泳ぎたくないけど、泳げちゃう」という水との付き合い方を会得したことからも分かるように、本書から学べるのは「どうしてもやりたくないこと」と付き合うためのハウツーなんではないかと思う。
まあそんなことはさておき無類に面白いのは間違いない。「泳げる人」の只中に一人孤立する「泳げない人」である高橋さん。初心者の頃は訳が分からないままやっていたことが、中級者になってからちょっと理解できるかな?と思った途端、「泳げる人たち」と自分との違いが却って浮き彫りになったり、こういう感じで学習って行われてくんだな、という感じ。途中で日本古式泳法に浮気したりするのも如何にもそれっぽい。
あと実際に身体感覚的に文章にされたときの、スイミングスクールの生徒さんたちの泳ぎに対する感覚の違いもまた面白い。身体との付き合い方はほんとに人によって千差万別なんすね。
個人的ツボポイントは、桂コーチがレッスンが進むにつれてコロコロ言うことが変わり、それに高橋さんががんがん翻弄されていくところ。こういうのあるあるだよなあ。