寝楽起楽

ネタばれには配慮しない、感想/紹介ブログです。毎週1回更新 +α を目指したかった。

2024-01-01から1年間の記事一覧

遠さ:『隣のアボリジニ 小さな町に暮らす先住民』/上橋菜穂子

『獣の奏者エリン』『鹿の王』『守り人』シリーズなど、壮大なファンタジーを描く小説家上橋菜穂子の、民族学研究者としての側面を出した1冊。 とはいっても本書は研究書ではなく、その語り口は子どもでもわかるほどに平易で、しかし大人が読んでも深く楽し…

私と私たち

「私たちは」という主語には「特定の物事について暗に合意を取ることで、集団を形成する」機能と、「その集団に入らないものの排除」という2つの機能が含まれている、気がする。たとえば、「いま私たちは、私たちという言葉に含まれる2つの意味を確認した」…

『ほんまにオレはアホやろか』/水木しげる

『ゲゲゲの鬼太郎』を描く前までを中心にした水木しげるの自伝本。のべつくまなしに語られるエピソードの一つ一つがやたらと濃ゆい↓ 学校に馴染めず日がなベンケイガニを眺めて過ごし、入学してみた美術学院は退屈で自分から辞め、誰でも入れるといわれた園…

私が「歴史」というものについてどう向き合うか、のド深夜覚書

「歴史そのものは好きだけど、読んでも読んでもかたっぱしから忘れる問題」について最近考えていた。「読んでる間おもしろいならそれでいいじゃん」という考え方もあるのだけれど(実際これまではそう処理してきたわけだけれど)、やっぱし読むからにはちゃ…