2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧
目を伏せて空へのびゆくキリンの子 月の光はかあさんのいろ キリンの子 鳥居歌集 作者: 鳥居 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 発売日: 2016/02/09 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (7件) を見る ○内容 両親離婚→目の前で母が自…
この本は要するに、いわゆる「英文学」の名作短編を集めたアンソロジーである。当翻訳者が個人的に長年敬意を抱き、何度か読み直してきた作品が並んでいるというだけでなく、これまで刊行された多くの英文学傑作短編集などにも繰り返し選ばれてきた名作中の…
娘の方は父親を名前で呼びつけにするけれども、逆に父親の方は自分の娘を「お宋」とその名で呼んだことがない。用事のある時は決まって「オーイ」と呼ぶ。返事がなくてもやっぱりまた「オーイ」と呼ぶ。お宋が家に居ないのにいつまでも「オーイ」「オーイ」…
一日中巨大なダンプカーが都市から出るゴミを運んで来ては捨てていく、とある丘の上に幾つものゴミ山がそびえていた。ある冬の晩のこと、そのゴミ山から少し離れたところに松明のあかりをたよりに八軒の一夜建てが築かれた。翌朝、一夜建ての屋根にその年は…
むかしわたしは鬼たちの住む場所に暮らしていた。わたしも鬼のひとりだった。わたしは今年寄りでそのころは若かったけれど、じつはそんなにすごくまえの話ではなく、単にわたしにはめていた枷を時が手にとってねじっただけのこと。いまわたしはインディアナ…
僕が九歳で世界が想像しうるあらゆるたぐいの壮麗さに満ちていて、人生がいまだ楽しい神秘な夢だった古きよき時代のある日、僕以外のみんなから頭がおかしいと思われていたいとこのムーラッドが午前四時にわが家にやってきて、僕の部屋をこんこん叩いて僕を…
スコップと丸めたビニル袋を手に持って、あみ子は勝手口の戸を開けた。ここ何日かは深夜に雨が降ることが多かった。雨が降った翌日は、足の裏を地面から引きはがすようにしてあるかなければならないほどぬかるみがひどかった表の庭に通じる道も、昨日丸一日…
まったく、いやになるくらい、ありふれた名前だ。メアリ・スミスだなんて。ほんとにがっかり、とメアリは思った。なんの取り得もなくて、十歳で、ひとりぼっちで、どんより曇った秋の日に寝室の窓から外を眺めたりして、そのうえ名前はメアリ・スミスだなん…
小説投稿サイト「カクヨム」で、雅島貢さんという方が自らの作品のため、instagramで女子大生なりきりをしている、という話を此処のところされている。 いわゆる女子なりきり、ネカマというものはネットが登場して以来連綿と存在しつづけるものだが、instagr…
『短歌の友人/穂村弘』『短歌をよむ/俵万智』『現代秀歌/永田和宏』『近代秀歌/永田和宏』読んだ。 てわけで今回は、そん中からこれは良い、と思った短歌を10首選んで紹介する。 どれもこれも短歌の入門書的な立ち位置のものなので、おそらく短歌が好き…
とどきますか、とどきません。光かがやく手に入らないものばかり見つめているせいで、すでに手に入れたものたちは足元に転がるたくさんの屍になってライトさえ当たらず、私に踏まれてかかとの形にへこんでいるのです。とどきそうにない遠くのお星さまに受か…