寝楽起楽

ネタばれには配慮しない、感想/紹介ブログです。毎週1回更新 +α を目指したかった。

町田 康 『浄土』 2005年

 7つの短編をまとめたもの。生々しく馬鹿馬鹿しく何かを描くのが上手い人ですね。

 

 後、松岡正剛うさんくせーなーと前々から思ってたけど、これの解説してるのを読んで確信に変わった。なんだこいつ(笑)

 

浄土 (講談社文庫)

浄土 (講談社文庫)

 

 

 

それぞれに感想。

 

○犬死

ある占い師の元に行き、来年死ぬと宣告された男の話。

何もかもを微妙にかけちがえかけちがえた結果。

 

○どぶさらえ

先ほどから、「ビバ!カッパ!」という文言が気に入って、家の中をぐるぐる歩きまわりながら「ビバ!カッパ!」「ビバ!カッパ!」と叫んでいる。

この出だしからこれは面白いと確信。やっぱり本書の中で一番好きだった。ビバカッパ。不法投棄が積み重なりどぶになった河を一人で掃除するはめになった男の話。

 

○あぱぱ踊り

薄気味悪い。自分を凄いと思い込んでる男を平静に見つめる私。

 

○本音街

これも好き。本音でしかしゃべってはいけない街に行く話。

本音を言いたいのに、この街でも結局ためらってしまう主人公がリアル。

 

○ギャオスの話

怪獣が現れたとしても、日本人の大部分は人ごととして、エンターテイメントとして取り込んでしまう、っていうことなのかな。

 

一言主の神

面白いけど説明しにくい。

 

○自分の群像

明らかにタイトルが他と異なる。ボンクラなのに口だけ達者な男、それを殴りたいと思う女、人間関係を悪くするのを私情の悦びとするちくり魔、ぱっとしない上司。

ラストの不気味さは秀逸。