どんな人でも貴婦人ゴディバについては耳にしたことがあるだろう。ほとんどの人にとって、彼女の名前を聞いて思い浮かべるイメージは、馬に乗った裸の女性である。数は少ないが、ゴディバの馬乗りの話と聞いて、「ああ、こういう話でしょ」といえる人たちもいる。たとえば、あれは中世のコヴェントリーで起きた事件だよとか、「重税を軽くしてあげて」と願う彼女に向って、「裸になって馬にのれ」と夫がけしかけたこととか、コヴェントリーの市民はそれを見るのを禁じられたけれど、一人の男が彼女を見て、その途端に目がみえなくなった、などなど。この覗き見をした男が「覗き屋トム」という表現の元になったのだ、と答える物知りも多少はいるだろう。それでも、この伝説についておぼろげな記憶しか持たない人たちは、ゴディヴァを民話のヒロインとしかおもっていないのが普通だ。まさか、十一世紀のイングランドを生き抜いた、血肉を持った女性とは思ってはいない。
(本書 序論より)
チョコレートのゴディヴァの名前の由来の人です。
〇内容要約
冒頭にあげた伝説はよく知られてるけど史実ではなく、しかも元ネタらしい元ネタもなく、13世紀に突如として登場したっぽい。裸の女性馬に乗る、というエロいイメージが民衆に受け入れられ人気になり、伝説を再現したお祭りがはやる。そこに覗き屋トムの伝承が付け加わったのは17世紀のことだったが、その精神的背景とはどんなものだったのか?
〇感想・考察
覗き屋トムは、英語ではPeeping Tomと書いてのぞき見する奴を総称する単語になってます。
いつか何かの英文で単語見かけて、意味を調べた流れからゴディヴァの伝説を知りまして、今回図書館で数年ぶりにこの名前を見てなんとなく借りた、という次第。
中世においては髪を解く=性的、ていうとことか、統治者が女性であっても、統治者という立場がある以上、その管理は女性に完全に一任されていた、とか面白いと思う知識も多かった。伝説の変遷自体は結構頑張って追ってるのに、要はエロかったからこの伝説は流行ったんだ!!!ていう結論の雑さも味わい深さある。
後ちょくちょく入る挿絵も好き。
↑この扉絵のやつとか、
あと表紙になってるこれとかと比べた時の、
こいつの背景といい人物といいやる気のなさ。良い。馬は結構頑張ってると思う。
以上。